【症状別】このバイクタンクの凹み、デントリペアできる?
バイクタンクの凹を直す方法は、大きく「バイクタンクの交換」「板金or パテ埋め→再塗装」、そして、「デントリペア」がありますが、
オリジナルの塗装・ステッカーを守りたい、絶版車なので在庫はない、複雑なキャンディーカラーなので部分再塗装は難しい・・・場合など、「なんとかデントリペアで修理できないか?」というご相談をよく受けます。
そこで今回は、バイクタンクの凹みがデントリペアで直せるかどうか、事例を交えながらご紹介します。
目次
バイクタンクの凹みの大きさ、深さ、形状
バイクタンクの凹みをデントリペアで修理できるか、まずは凹みの大きさ、深さ、形状を確認します。
凹みが小さい事例
事例:ハーレーFXBRS(見た目は1cmほどの小さな凹み)
100年を超える長い歴史を持つハーレーダビッドソンは、この地球上において最も多くのライダーに愛されているバイクブランドのひとつですね。
写真は、「ハーレーFXBRS」。
見た目は1cmほどの小さな凹みに見えますが、デントライトで照らしてみると、タンク面に歪み (ひずみ:わずかなヘコミ)があるため、実際にデントツールで触る部分は全長3cm〜になる場合が多いです。
凹みが大きい事例
事例:カワサキ GPZ900R(見た目は15〜20cmくらいの大きな凹み)
GPZ900Rのバイクタンクの右側面のビックデント、大きな凹みです。写真では15〜20cmくらいの凹みに見えますが、凹みの周辺は富士山のように盛り上がっているので、そこを含めるとタンク右側面全体をデントリペアで直しています。
カワサキGPZ900R、プレス潰れのビックデント 千葉県
カワサキGPZ900Rのバイクタンクの右側側面のプレスラインがガッツリ凹み、周辺が盛り上がって、2箇所のプレスの潰れ部分の塗装は割れているビックデントの修理事例です。板金塗装を検討する前に、デントハリマにご相談ください。バイクの凹み修理専門、デントハリマは全国宅配で修理可能です。
凹みの形状が特殊な事例
事例:スズキ GSX-R1100 (見た目は20cm四方で複雑な凹み)
GSX-R1100のバイクタンクの左側股辺りの反った形状の部分に、複雑に凹みが重なりあった凹みです。デントリペアで仕上げる時には、デコボコしないように自然な反った状態になるように直していきます。
スズキGSX-R1100、またいで左股辺りの複雑な凹み。三重県
【タンク股の凹みは、事故がらみの凹みのパターンが多いです。】 こんにちは。バイクタンクの凹みをデントリペアで直す、デントハリマの小山です。 スズキGSX-R1100のま...
事例:ドゥカティ 750F1Laguna Seca (タンク上面全体)
ドゥカティ 750F1Laguna Seca(ラグナ・セカ)のアルミタンク。給油口の真上からかなりの衝撃で押された凹みです。普通は、簡単にはこんな感じにはならないのですが、給油口自体の歪みもあり、給油口を360度水平に保ち凹みを直しています。
ドゥカティ 750F1 Laguna Seca (ラグナ・セカ)のアルミタンク、給油口周辺が全体的に凹み。東京都
【給油口の真上から押されたような凹み。ドゥカティ750F1】 こんにちは。バイクタンクの凹みをデントリペアで直す、デントハリマの小山です。 ドゥカティ 750F1 Laguna ...
塗装塗膜にキズ、塗装割れ等がないか
残念ながら、キズや塗装の剥がれはデントリペアでは修復できません。 状況によってはリペア中に塗膜が剥離する可能性もあります。
再塗装やパテ埋めをしたくない旧車や絶版車のオーナー様には、リスクも承知で「なんとかデントリペアしてほしい」とのご相談もあります。塗装済みのカウルやガソリンタンクなどの外装パーツは、純正パーツの中でも比較的早期に販売終了となってしまうことが多いからです。凹みだけをデントリペアで修理して、再塗装しない場合もあります。
事例:スズキ GSXカタナ
GSXカタナの年季の入ったバイクタンクです。シールを剥がさずに塗装割れもそのままで、なんとかデントリペアです。
スズキ GSXカタナのガッツリした複数の凹み。 愛知県
【思い入れのあるバイクであればあるほど、デントリペア。】 こんにちは。バイクタンクの凹みをデントリペアで直す、デントハリマの小山です。 スズキ GSXカタナのガッ...
給油口の位置、穴サイズ、形状
バイクタンクのデントリペアは、給油口からデントリペアツールでアクセスして修理します。そのため、給油口の位置や穴サイズ、形状は、修理にとても大きな影響を与えます。
給油口・フューエルコック・ポンプ等の穴のサイズが小さい、複雑
しかし、給油口・フューエルコック・ポンプ等の穴のサイズが小さい場合、複雑な形状でデントツールが入れにくい場合は、作業リスクが高く、修理費がアップする場合やデントペアできない場合もあります。
事例:ホンダ CB400SF
CB400SFのタンクには、給油口がかなり狭いタイプがあり、デントツールを給油口から挿入して凹みを直す時に、デントツールが給油口の狭い箇所に干渉して変形してしまう恐れがあります。詳しくは、下の「あわせて読みたい」をクリックしてご覧下さい。
給油口の形状が変形しないようにデントリペア。CB400SF 滋賀県
【デント職人泣かせのタンクの給油口の形状です。CB400SF】 こんにちは。バイクタンクの凹みをデントリペアで直す、デントハリマの小山です。 ホンダCB400SFの立ちゴケ...
給油口に内部構造上の障害物がある場合
内部のドレンパイプや仕切り板がある場合、市販のデントツールではアクセスできない箇所があります。アクセスできるかどうかは、長年の経験による判断によるところが大きいです。また自社で考案し改良したデントツールで、他社で断られた凹み修理もできる場合があります。
事例:カワサキ ゼファー750
カワサキ ゼファー750は、凹みの位置によってタンク内部構造や、ドレンパイプの影響で市販のデントツールが凹みに届かないことが多いタンクの一つです。その場合でもデントハリマは、どうやったら凹みが直るかを研究・追求して直しています。
数多くのバイクタンクをデントリペアしているからこそ対応。ゼファー750 埼玉県
【ゼファー750の左側と右側の凹み、デントリペアの難度は変わります。】 カワサキ ゼファー750、左下側の深い凹みです。今回のゼファー750の凹みの位置は、タンク内部の...
ガソリンタンクの素材
バイクの燃料タンクは、プレスで成型されたパーツをつないで製造されます。車体の中で重要度が増すほどデザインは複雑になり、素材や製法も進化してきました。
ほとんどは鉄製が大半ですが、アルミタンクやメッキタンクなどは、カスタム感が出てかっこいいですね。
鉄板が分厚いガソリンタンク
ハーレー、旧車Z1、Z2 etc…のタンクは、鉄板やアルミが分厚い。とにかく頑丈にできているので、デント屋泣かせのタンクです。
デントリペアの修理方法は、小さな給油口からデントツールを入れ、「テコの原理」を利用してヘコミを押し上げます。
「テコの原理」は、小さな力を大きな力に変える事ができます。
細くて小さなデントツールの先端に大きな力を与えるには、ツールの棒を支える「支点」の位置が重要ですが、ガソリンタンクの中では、細いパイプや仕切り板等もあり、その「支点」がとりずらく不安定なのです。
多くのバイクタンクを見てきた経験とタンク内の「構造の知識」と、最後は「力技」に頼ることになります。
事例:ハーレーロードキング
ハーレーロードキングのガッツリ凹みです。鉄板が分厚いタンクなので簡単には凹みは上がらない凹みです。デントハリマでは、他のデント業社から断られた凹みもご相談ください。
ハーレー ロードキング、傷付きガッツリ凹み 兵庫県
ハーレーダビットソン ロードキングのバイクタンクの跨いで左側のガッツリ傷有り凹みの修理事例です。板金塗装を検討する前に、デントハリマにご相談ください。バイクの凹み修理専門、デントハリマは全国宅配で修理可能です。
事例:ハーレーFXRT
ハーレーダビットソン FXRTの鉄板の分厚いバイクタンクでガッツリ凹みを直す難しさは、同業者であればよくわかるので、なかなかデントリペアのご依頼を受けて直してもらえる業者は少ないかもしれません。デントハリマでは、常にどうやったら直せるか技術追求をしております。
ハーレー FXRTのバイクタンク、傷ありガッツリ凹み 。広島県
ハーレーダビットソン FXRTの傷ありタッチアップしたガッツリ凹みのバイクタンクをデントリペアした修理事例です。バイクタンクの傷がある凹みですが凹みだけを直して欲しいとの事です。板金塗装を検討する前に、デントハリマにご相談ください。バイクの凹み修理専門、デントハリマは全国宅配で修理可能です。
給油口から遠い凹み
給油口からかなり遠い位置にある凹みにも、海外の市販のデントツールで届かないこともあります。デントリペアを長年やっていると、どうしても出会す凹みです。
弊社の自作デントツール使って、給油口から遠隔操作でコントロールして、凹みを塗装が割れないように押し上げます。
事例:ホンダCB750F
CB750Fのタンクの股辺りのガッツリ凹み、給油口からのデントツールを挿入して凹みを直していきます。給油口からの距離が遠いと基本的に難度は上がります。
デントツールを給油口から遠隔操作でコントロール。CB750F 京都府
【海外の市販のデントツールでは直せない凹み。】 こんにちは。バイクタンクの凹みをデントリペアで直す、デントハリマの小山です。 ホンダCB750Fの股辺りの深い凹み、...
メッキタンクの凹み事例
メッキとは、金属やアルミの地素材の上にニッケル、クロームといった耐久性の高い金属で皮膜を形成する技術です。
バイクタンクだけでなく、ホイールやマフラー、ハンドル、レバーなどにメッキ加工しているバイクは、どこに置いても輝いて目立っていますね。
このような鏡面の特徴を持つメッキタンクの凹みをデントリペアで直すには、塗装よりも更に細かな歪みを出さずに凹みを直す高い技術が必要です。
事例:カワサキW800
カワサキW800のメッキ仕様のタンク、技術的にミスが無ければデントリペアできると判断して、地元のバイクショップからのご依頼をお受けしました。
派手によく分かります。W800メッキ仕様 兵庫県
【メッキタンクも、よくご依頼を受けます。】 こんにちは。バイクタンクの凹みをデントリペアで直す、デントハリマの小山です。 W800 メッキ仕様のタンクの凹み。派手に...
デントリペアで直せない事例
残念ながらお断りしないといけないケースもあります。
事例:スズキRGV-Γ 250SP
スズキRGV-Γ 250SPのタンク、深い凹みの底が既に塗装が浮いて、割れかけている状態です。デントリペアで上げていくと確実に割れるので、鈑金塗装をオススメしました。尚、塗装が割れてもOKで、タッチアップするので凹みだけでも上げてほしい場合は対応させて頂く事もあります。
長年連れ添った相棒、自慢のカスタム車、一目惚れした愛車、若い頃に憧れたスタイル・・・、
日々鍛錬し、バイクオーナー様にとって「凹み直しの最後の砦」となるのが、私のミッションです。